そもそも、発酵って何?

地球上にはいたるところに私たちの目には見えない微細な生物が存在しています。空気中、海や川の水の中、私たちの皮膚や粘膜、ひいては体内に至るまで!これらの微生物は地球の生命の循環になくてはならない存在です。

地球上に存在する微生物の種類やその数は天文学的数字であり、その特徴も私たち人間の常識をはるかに超える多様なものです。空気が必要な微生物もいれば空気がなくても生きられる微生物もいます。数千℃に達するマグマの中に存在するものや、高温硫黄泉の中で生きる微生物もいます。(微生物のなかには有機物だけでなく、無機物に作用してエネルギーを得るものもあります。)そして常に地球の生命の循環、浄化のために生命活動を行っているのです。

動物や植物が死ぬと、それらの死体は最終的に微生物によって分解されます。そして微生物の生命活動によってできた代謝物が植物の栄養となって植物が育ち、植物が草食動物の餌となり、草食動物は肉食動物の餌となり、肉食動物やその他あらゆる動植物が死ぬと微生物に分解されて土に還ります。もし微生物による分解がなければ、地球上はあらゆる動植物の死体であふれかえってしまうことでしょう。死んだ動植物は新たな命を生み出す元となり、こうして延々と生命の循環が行われるのです。

さて、これらの微生物は生命活動において代謝物を生成します。これが人間にとって有益な物質を作り出す作用であれば「発酵」、有害な物質を作り出す作用であれば「腐敗」と呼んでいます。

一方、食品に何らかの微生物(腐敗菌)がついた場合、その代謝作用によりカビなど、食中毒の原因物質が生成されてしまいます。この場合、その食品は腐敗し、食用に適さなくなってしまうというわけです。